【連載】切り絵でみる仏教説話 No1.いのちの秤


 今回から連載をスタートする「切り絵でみる仏教説話」では、主にお釈迦様の前世の姿を説かれた逸話であるジャータカ物語を、切り絵を通じて紹介していきたいと思います。

 

 みなさんは「いのちの天秤」についての話を聞かれたことはあるでしょうか。こんな説話です。

 

 昔、シビ王という心やさしい王様がいました。ある時、王様のところに鳩が逃げてきて「鷹に追われています。私のいのちを助けて下さい」と、命乞いをしました。そんな鳩を不憫に思った王様は鳩をかくまってあげました。

 すると今度は、王様のもとに鷹がやって来ました。鷹は王さまに「その鳩は私の獲物です。鳩を食べないと私は生きてはいけません。その鳩を私に返して私のいのちを救って下さい」と言いました。そこで、鳩のいのちと鷹のいのち、どちらも大切だと思った王様は、代わりに自分の体の肉を鷹にやろうと、鳩と同じ重さの分だけ自分の体から肉を切り取って天秤の上に置きました。

 ところが、その天秤はどれだけ王さまの体の肉を切り取って置いてみても、鳩の重さと釣り合いません。そこで王様は「はっ」と気づき自ら天秤に乗りました。すると天秤はピッタリ真ん中でとまったのです。そう、その天秤はいのちをはかる天秤だったのです。鳩のいのちも、自分のいのちも、それぞれ同じ一つの大切ないのちであったことに気づかされたのでした。

 普段私たちは肉を食べる時にその動物のいのちを頂いていると思いながら食べているでしょうか。この話は私たちに、忘れてしまいがちなその事を教えてくれているのではないかと思います。

 

 今後も「切り絵で見る仏教説話」では、ジャータカ物語に説かれている仏様の教えを皆さんと一緒に読み解いていけたらと思います。

(フリーペーパーののさま掲載記事)

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